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東京地方裁判所 平成12年(ヨ)22138号 決定 2000年12月12日

①事件

債権者

株式会社インターナショナルサイエンティフィック

右代表者代表取締役

臼井龍夫

右代理人弁護士

山田正彦

平賀睦夫

川村篤史

寒河江孝允

武藤元

右補佐人弁理士

萩原誠

債務者

ビットキャッシュ株式会社

右代表者代表取締役

林圭介

右代理人弁護士

田中収

宮下正彦

右補佐人弁護士

飯塚雄二

主文

一  本件申立てをいずれも却下する。

二  申立費用は債権者の負担とする。

理由

第一  事案の概要

債権者は、インターネット接続サービス事業の用に供するシステムを使用する債務者の行為は、債権者の有する特許権を侵害するとして、同システムの使用の差止め及び執行官保管を求めた。

一  前提となる事実(争いない事実及び審尋の全趣旨により認められる事実)

1  債権者の特許権

債権者は、以下の特許権(以下「本件特許権」といい、右特許権に係る発明を「本件発明」という。)を有している。

(一) 発明の名称 インターネットの時限利用課金システム

(二) 出願日 平成八年七月一一日

(三) 出願番号 特願平八―二〇一一六六

(四) 登録日 平成一一年六月一八日

(五) 登録番号 第二九三九七二三号

(六) 特許請求の範囲 別紙特許公報写しの該当欄記載のとおり

このうち、請求項一は以下のとおりである。

クライアントにインターネットとの接続サービスを提供するターミナルサーバと、該ターミナルサーバからの指示によりクライアントから入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続可否を確認する認証サーバと、該認証サーバに連動し各クライアントの個別情報及び予め設定された利用可能な時間を示す接続度数から構成される認証データを各クライアント毎に一つのレコード単位として管理する拡張認証データベースを各レコード単位毎に有する認証データベースと、該拡張認証データベースに連動し各クライアントの接続利用時間に合わせて接続料金を計算して接続度数を逐次更新する課金サーバとを備え、該拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数が〇になるまでの間に限りインターネットの接続サービスを提供してなることを特徴とするインターネットの時限利用課金システム

2  本件発明の構成要件

(A)クライアントにインターネットとの接続サービスを提供するターミナルサーバを備えること

(B)前記ターミナルサーバからの指示によりクライアントから入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続可否を確認する認証サーバを備えること

(C)前記認証サーバに連動し各クライアントの個別情報及び予め設定された利用可能な時間を示す接続度数から構成される認証データを各クライアント毎に一つのレコード単位として管理する拡張認証データベースを各レコード単位毎に有する認証データベースを備えること

(D)前記拡張認証データベースに連動し各クライアントの接続利用時間に合わせて接続料金を計算して接続度数を逐次更新する課金サーバを備えること

(E)該拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数がゼロになるまでの間に限リインターネットの接続サービスを提供すること

3  債務者の行為

債務者は、「BitCash」(ビットキャッシュ)という名称の、プリペイド型電子マネーを利用するインターネット少額決済システム(以下「債務者システム」という。)を運営している。なお、債務者システムの構成については、後記のとおり争いがある。

二  争点

1  債務者システムの構成

(一) 債権者の主張

債務者システムの構成は、別紙イ号システム目録記載のとおりである。

(二) 債務者の認否

否認する。

2  本件発明の構成要件の充足性

(一) 債権者の主張

債務者システムは、本件発明の構成要件をすべて充足する。

(二) 債務者の認否

否認する。

第二  判断

当裁判所は、①債務者が実施している債務者システムの構成及び内容は、債権者の主張するものであると認められず、②進んで、当裁判所が認定した債務者システムの構成及び内容を前提に、本件発明の構成要件と債務者システムの構成を対比してみても、債務者システムは、本件発明の構成要件を充足しないことから、本件申立ては理由がないと解する。この点を敷衍する。

一  争点1(債務者システムの構成及び内容)

債権者は、債務者システムの構成及び内容は、別紙イ号システム目録記載のとおりであると主張する。しかし、本件記録によるも、債務者が実施している債務者システムの構成及び内容が、右主張のとおりであると認定することはできない。したがって、争点1(一)についての債権者の立証がないことになるので、本件申立ては、その余の点を判断するまでもなく理由がない。

のみならず、証拠(疎乙二、四)及び審尋の全趣旨によれば、債務者システムの構成及び内容は、以下のとおりであると認められる。

1  債務者システムは、インターネットの利用者が、インターネット上でデジタル情報として提供される画像、音声又はゲーム等を購入し、あるいは検索等のサービスを利用する際に(インターネット等を通じて提供される右のようなマルチメディア情報を、以下「コンテンツ」という。)、プリペイド方式のBitCashカード(以下「債務者カード」という。なお、債務者システムではシート方式、オンライン方式を利用することもできるが、カード方式を例に説明する。)を利用してその代金決済を行うことを内容とするものである。

債務者システムのサーバシステムは、利用者及び加盟店と情報のやり取りを行うWebサーバ(以下「ウェブサーバ」という。)と、商品情報、債務者カードの情報、取引情報等を管理するデータベースサーバとから構成される。

2  利用者が、債務者システムを利用して、インターネット上でコンテンツを購入し、その代金決済を行う手順の概要は、以下のとおりである。

(一) 利用者は、債務者カードをその販売店で購入する。特別のキャラクターを印刷したカード等を除き、利用者には、カードの購入金額と同じクレジット数(債務者システムによる代金決済に供し得る単位)が付与される(一〇〇〇円のカードには一〇〇〇クレジットが与えられる。)。

債務者カードの裏面には、ひらがな一六文字及び英数字二四文字からなるカード情報が記載され、文字を覆う銀色の部分をこすることによってこれを利用できるようにされている。テレフォンカードなどとは異なり、債務者カードに磁気情報や電子情報は書き込まれず、カード情報の入力によって、カード所持者を認証する方式とされている。

(二) 債務者システムは、インターネットとの接続サービスを提供するものではなく、債務者システムを利用してコンテンツを購入しようとする者は、別途、インターネットとの接続サービスを提供する業者と契約するなどの方法によって、インターネットに接続しなければならない(パソコンによる接続に限らず、テレビ、ゲーム機による接続も含まれる。)。したがって、利用者のインターネットとの接続に係る認証については、債務者との間ではなく、前記接続サービス業者との間で行われる。

(三) 利用者がインターネットに接続し、債務者システムの加盟店がインターネット上に開設したページにアクセスして、購入を希望するコンテンツを選択すると(複数の代金決済方法がある場合、債務者システムを利用する旨をも選択する。)、債務者システムのウェブサーバは、利用者に対し、決済に利用する債務者カードのカード情報を入力するよう要求する。

利用者がカードの裏面に記載されたカード情報を送信すると、債務者システムのデータベースサーバは、当該カードについて、当該コンテンツの価格に対応するクレジットの残額が存するか否かを確認する。債務者システムが、右の確認が行われた旨を加盟店のサーバーに送信すると、加盟店のサーバは、利用者に対し、当該コンテンツの配信を開始する。

(四) 右の配信が開始されると、債務者システムは、クレジットの残額から、当該コンテンツの価格に対応するクレジット数を差し引き、データベースを更新して、新たなクレジットの残額を記録する。

債務者は、当該コンテンツの価格から、カード販売店のマージンや債務者の決済手数料その他を控除した額を、コンテンツを販売した加盟店に支払い、決済を了する。

(五) なお、音楽や雑誌の閲覧等、一定時間内利用し得ることを特徴とするコンテンツが存在するが、債務者システムでは、これらのコンテンツについても、利用時間に応じて課金する方式ではなく、利用者が利用を開始する際に所定の料金を一括して課金する方式を採用している。

また、利用者が右コンテンツの利用を開始し、所定の料金についての課金処理が行われると、その後の利用関係は利用者と加盟店の間で処理される。すなわち、右のコンテンツに関する利用状況の確認、及び限度を超過した利用者に対しする配信の停止等は加盟店において決せられるのであって、債務者システムにおいて利用者の利用状況を管理し、コンテンツの配信を停止することはない。

二  争点2(本件発明の構成要件の充足性)

前記のとおり債権者の主張は理由がないが、念のため、進んで、右認定した債務者システムの構成を前提として、本件発明の構成要件と債務者システムの構成とを対比する。

債務者システムは、以下のとおり、本件発明の構成要件AないしEを充足しない。

1  構成要件Aの充足性

(一)  特許請求の範囲の構成要件Aに係る部分の解釈

①本件明細書の「特許請求の範囲」に、「クライアントにインターネットとの接続サービスを提供するターミナルサーバ(略)を備え」と記載されていること、②「発明の詳細な説明」欄に、「本願発明は(略)不特定多数の者にすぐにインターネットを利用させるようにしたサービスの提供方法に係り」と記載されていること(特許公報4欄八行ないし一〇行)、③同欄に、「本願発明は、多数のクライアントにインターネットとの接続を提供することのできるターミナルサーバ(略)を備えてなるものであり」と記載されていること(公報5欄三〇行ないし四五行)、④本件発明がインターネットの時限利用課金システムに関するものであることに照らすならば、同構成要件は、ターミナルサーバを備え、利用者にインターネットとの接続サービスを提供するものであることを必須とする趣旨であることは明らかである。

この点、債権者は、「インターネットとの接続サービス」とは、インターネット接続サービスそれ自体の提供に限られず、インターネットに接続した後に、インターネット上で利用し得る様々なサービスを指すと主張し、その根拠として、実施例の欄に「本願発明においては、インターネットの利用に際して何ら制限されることがないので、(略)インターネットにおける有料情報に対する料金を認証データにおける接続度数から徴収をする情報提供料徴収プロクラム(略)を設けたり(略)することも出来る」との記載が存すること(公報9欄四四行ないし10欄五行)を掲げる。しかし、前記「特許請求の範囲」の文言及び他の部分の記載に照らして、前記実施例は、本件発明によるインターネットへの接続と他のサービスとを組み合わせることが可能である旨を付加的に述べたものにすぎないことは明らかであるから、実施例の記載により前記の解釈を左右することはできず、債権者の右主張は失当というべきである。

(二)  対比

債務者システムは、前記認定のとおり、インターネットとの接続サービスを提供するものではなく、利用者がインターネット接続業者と契約するなどして、別途インターネットとの接続を確保していることを前提に、インターネット上で購入したコンテンツの代金決済を行うことを内容とするものである。また、債務者システムには、ウェブサーバ及びデータベースサーバが存在するが、これらは、利用者に対し代金決済サービス等を提供するためのものであって、利用者にインターネット接続サービスを提供するために設けられたものではない。

この点、債権者は、債務者システムの加盟店のサーバが、「ターミナルサーバ」に当たるとも主張する。しかし、加盟店のサーバは、そもそも債務者システムに属するものではなく、商品の購入情報等を提供するにとどまり、利用者にインターネットとの接続サービスを提供するものではないから、この点についての債権者の主張は採用できない。

したがって、債務者システムは、利用者に「インターネットとの接続サービスを提供するターミナルサーバを備える」ものではなく、構成要件Aを充足しない。

2  構成要件Bの充足性

(一) 構成要件Bの解釈

①本件明細書の「特許請求の範囲」に、「該ターミナルサーバからの指示によりクライアントから入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続可否を確認する認証サーバ(略)を備え」と記載されていること、②「発明の詳細な説明」欄に、「インターネットとの接続を依頼するクライアントは指定された個別情報を入力し、(略)入力されたクライアントの個別情報の可否は、ターミナルサーバからの指示により、認証サーバが連動する拡張認証データベースから対応するクライアントの認証データを抽出することが出来たか否かにより確認し、該ターミナルサーバにその結果を報告することによりなされる」と記載されていること(公報7欄四五行ないし8欄五行)に照らすならば、同構成要件は、利用者がターミナルサーバに接続した後、利用者が入力した個別情報(ID、パスワード等)に基づき、登録された利用者として認証し、インターネットとの接続を許すか否かを決する認証サーバを備えるものであることを必須とする趣旨であることは明らかである。

(二) 対比

債務者システムには、前記認定したとおり、ウェブサーバ及びデータベースサーバが備えられているが、これらは利用者が入力したカード情報によって、債務者システムの利用に係る認証等を行うものであって、インターネットとの接続の可否に係る認証を行うものではない。

したがって、債務者システムは、「ターミナルサーバからの指示によりクライアントから入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続可否を確認する認証サーバ」を備えていないので、構成要件Bを充足しない。

3  構成要件Cの充足性

(一) 構成要件Cの解釈

①本件明細書の「特許請求の範囲」に、「各クライアントの個別情報及び予め設定された利用可能な時間を示す接続度数から構成される認証データ」と記載されていること、②「発明の詳細な説明」欄にも同様の記載があること(公報5欄三六行ないし三八行、6欄八行ないし九行)、③同欄に、「接続後は該拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数が〇になるまでの間に限り、(略)インターネットの接続サービスが提供される」と記載されていること(公報5欄四七行ないし五〇行)、④本件発明がインターネットの時限利用課金システムに関するものであることに照らすならば、同構成要件は、IDやパスワードといった利用者の個別情報に加え、各利用者ごとにあらかじめ設定された利用可能時間を示す接続度数を、インターネットとの接続の可否の判断にかかわる認証データの内容として管理するものであることを必須とする趣旨であることが明らかである。

さらに、⑤本件明細書の「特許請求の範囲」に、「認証データを各クライアント毎に一つのレコード単位として管理する拡張認証データベースを各レコード単位毎に有する認証データベース(略)を備え」と記載されていること、⑥「発明の詳細な説明」の欄に、「拡張認証データベースは、多数のクライァントに対応する多くのログイン名、パスワードといった個別情報や利用可能な接続時間を示す接続度数からなる認証データをログイン名をキーに一つのレコード単位として各クライアント毎に管理してなるものであり、認証サーバにおける認証データベースの一つのレコード単位を、前記多数の認証データを管理する拡張認証データベースから構成されるようにしてなる」と記載されていること(公報8欄六行ないし一三行)に照らすならば、同構成要件は、認証データベースのレコード(記録)単位ごとに拡張認証データベースを設け、拡張認証データベースの各レコード単位ごとに各利用者の認証データを管理するものであることを必須とする趣旨であることが明らかである。

(二) 対比

債務者システムにおいては、前記のとおり、カード情報や残存するクレジット数の管理は行われているが、接続の許否を決する認証データの内容として、「各利用者ごとにあらかじめ設定された利用可能時間を示す接続度数」が管理されているとは認められず、また、カード情報等の認証データが、認証データベースと拡張認証データベースによって階層的に管理されているとも認められない。

なお、債権者は、一定の料金に対し一定時間利用できる旨定められたコンテンツを利用する場合においては、残存するクレジット数は、同構成要件所定の「予め設定された利用可能な時間を示す接続度数」に該当する旨主張する。しかし、前記認定のとおり、債務者システムにおいては、利用者が利用を開始する際に所定の料金を一括して課金し、その後の利用の管理は加盟店にゆだねるという方式を採用しているところ、債務者システム自身が、利用者の利用状況を管理し、利用時間に応じてクレジット数を逐次減少させる方式を用いているわけではないので、債務者システムにおける残存するクレジット数は、「予め設定された利用可能な時間を示す接続度数」に当たらない。この点の債権者の主張は失当である。

したがって、債務者システムは、「認証サーバに連動し各クライアントの個別情報及び予め設定された利用可能な時間を示す接続度数から構成される認証データを各クライアント毎に一つのレコード単位として管理する拡張認証データベースを各レコード単位毎に有する認証データベース」を備えていないので、構成要件Cを充足しない。

4  構成要件Dの充足性

(一) 構成要件Dの解釈

①本件明細書の「特許請求の範囲」に、「該拡張認証データベースに連動し各クライアントの接続利用時間に合わせて接続料金を計算して接続度数を逐次更新する課金サーバとを備え」と記載されていること、②「発明の詳細な説明」欄に、「インターネットにおける課金システムは、接続の確立と切断の時にターミナルサーバが結果をホストコンピュータに送り、ホストコンピュータで料金を計算してなるものであるため、接続切断するまでその料金計算が出来ない」ことが従来技術における課金方法の問題点である旨指摘されていること(公報5欄一一行ないし一五行)、③同欄に、「本願発明における課金サーバは、ターミナルサーバに対し一定時間毎に各クライアントの接続状況を問い合わせることにより接続時間を確認し接続料金を計算して接続度数を管理するとともに、利用継続の可否を該ターミナルサーバに知らせてなるもの、もしくは、ターミナルサーバから一定時間毎に送られてくる知らせにより接続時間を確認し接続料金を計算して接続度数を管理するとともに、利用継続の可否を該ターミナルサーバに知らせてなるものでもある」と記載されていること(公報7欄四行ないし一二行)、④同欄に、「課金サーバは、ターミナルサーバに対し一定時間毎に各クライアントの接続状況を問い合わせることにより接続時間を確認し、相応する接続料金を計算して認証データにおける接続度数の更新を逐次行う」と記載されていること(公報9欄五行ないし九行)、⑤本件発明がインターネットの時限利用課金システムに関するものであることに照らすならば、同構成要件は、利用者がインターネットに接続中、その接続利用時間に応じて接続料金を計算し、これに基づいて拡張認証データベースにある当該利用者の接続度数を逐次更新する課金サーバを備えるものであることを必須とする趣旨であることは明らかである。

(二) 対比

債務者システムにおいては、前記認定のとおり、ウェブサーバ及びデータベースサーバが設けられ、これらによって、コンテンツ購入に対する課金の処理を行っているが、認証サーバと拡張認証サーバによるデータ管理は行われていないのみならず、利用者の利用状況を管理し、利用時間に応じて逐次減少させる接続度数に相当するものも存在しない。

したがって、債務者システムは、「拡張認証データベースに連動し各クライアントの接続利用時間に合わせて接続料金を計算して接続度数を逐次更新する課金サーバ」を具備しないので、構成要件Dを充足しない。

5  構成要件Eの充足性

(一) 構成要件Eの解釈

①本件明細書の「特許請求の範囲」に、「該拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数が〇になるまでの間に限りインターネットの接続サービスを提供し」と記載されていること、②「発明の詳細な説明」欄に、「接続後は該拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数が〇になるまでの間に限り、連続使用、断続使用の別あることなくインターネットの接続サービスが提供される」と記載されていること(公報5欄四七行ないし五〇行)、③同欄に、「クライアントが既にログインしていて、現在の時刻が徴収実施時刻以上の場合は、接続時間に相応する料金を計算し認証データにおける接続度数から該当度数分だけ逐次徴収することとする。もし、該接続度数が〇未満となった場合は、ポートをリセットして接続を切断する」と記載されていること(公報9欄二三行ないし二七行)、④本件発明がインターネットの時限利用課金システムに関するものであることに照らすならば、同構成要件は、拡張認証データベースで管理される利用者の接続度数がゼロとなるまでの間に限り、当該利用者にインターネットとの接続を許し、接続度数がゼロとなった場合には、インターネットとの接続を切断するものであることを必須とする趣旨であることは明らかである。

(二) 対比

債務者システムにおいては、前記認定のとおり、インターネットとの接続は、別途、利用者とインターネット接続業者との間で行われることから、利用者のクレジット数がゼロになったとしても、当該利用者は、債務者システムを利用してコンテンツを購入することができなくなるにとどまり、これによってインターネットとの接続が切断されたり、あるいはインターネットに接続できなくなるものではない。

この点、債権者は、債務者システムは、利用者の利用に伴い残存するクレジット数を逐次更新し、クレジット数がゼロになると、これを加盟店のサーバに送信してコンテンツの配信を停止させるものであり、このことは、「クライアントの接続度数がゼロになるまでの間に限りインターネットの接続サービスを提供」することに当たる旨主張する。しかし、加盟店のサーバは、インターネットとの接続サービスを提供するものではないから、右の主張は採用できない。

そうすると、債務者システムは、「拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数がゼロになるまでの間に限りインターネットの接続サービスを提供する」ものではないから、構成要件Eを充足しない。

三  以上のとおり、債務者システムが本件特許権を侵害するとの債権者の主張は失当であり、本件申立ては理由がない。

(裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官谷有恒)

別紙イ号システム目録<省略>

別紙特許公報

(11) 特許番号 第二九三九七二三号

(45)発行日 平成一一年(一九九九)八月二五日

(24)登録日 平成一一年(一九九九)六月一八日

(51)Int.Cl.6  識別番号

G06F  1/00 370

13/00 351

354

F1

G06F' 1/00 370F

370E

13/00 351E

354A

請求項の数一二(全六頁)

(21)出願番号 特願平八―二〇一一六六

(22)出願日  平成八年(一九九六)七月一一日

(65)公開番号 特開平一〇―二七〇三六

(43)公開日  平成一〇年(一九九八)一月二七日

審査請求日 平成八年(一九九六)七月一一日

(73)特許権者 五九六一一二〇八八

株式会社インターナショナルサイエンティフィック

東京都千代田区神田須田町一丁目<番地略>。

(72)発明者  臼井龍夫

東京都千代田区神田須田町一丁目<番地略>。

株式会社インターナショナルサイエンティフィック内

(74)代理人  弁理士 梅村莞爾

審査官 菅原浩二

(56)参考文献 特開平六―四四七九(JP、A)

特開平八―一九五八三八(JP、A)

特開平九―三一二七〇八(JP、A)

「インターネットカード利用で一〇〇分体験」、日刊工業新聞、一九九六年(平成八年)三月一四日、一四版、九面右上

「インターネットカード使い接続」、日経産業新聞、一九九六年(平成八年)六月二七日、三面中央上

(58)調査した分野(Int.Cl.6、DB名)

G06F  1/00 370

G06F 13/00

G06F 15/00

G06F  9/06

(54)【発明の名称】 インターネットの時限利用課金システム

(57)【特許請求の範囲】

【請求項一】 クライアントにインターネットとの接続サービスを提供するターミナルサーバと、該ターミナルサーバからの指示によりクライアントから入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続可否を確認する認証サーバと、該認証サーバに連動し各クライアントの個別情報及び予め設定された利用可能な時間を示す接続度数から構成される認証データを各クライアント毎に一つのレコード単位として管理する拡張認証データベースを各レコード単位毎に有する認証データベースと、該拡張認証データベースに連動し各クライアントの接続利用時間に合わせて接続料金を計算して接続度数を逐次更新する課金サーバとを備え、該拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数が〇になるまでの間に限りインターネットの接続サービスを提供してなることを特徴とするインターネットの時限利用課金システム。

【請求項二】 拡張認証データベースは、認証サーバにおける認証データベースのレコード単位毎に設けられた唯一の組番号と組み合わさることで各認証データの識別を可能とする多数のログイン名をそれぞれ生成する、連続した数字を表現する文字もしくは記号を用いた任意の桁数の組内番号をレコード単位毎に有する多数の認証データから構成されるようにしたものであることを特徴とする請求項一に記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項三】 多数の認証データの識別は、組番号と、組内番号に該当しない任意の桁数の文字もしくは記号とを組み合わせることによりテンプレートログイン名を生成し、さらに、ログイン名を検索することによりなされるものであることを特徴とする請求項二に記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項四】 認証データは、全て同一長さの固定長レコードであることを特徴とする請求項一乃至三の何れかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項五】 認証サーバは、クライアントから入力された個別情報に基づく対応する認証データが拡張認証データベースから抽出されたか否かによってインターネットとの接続可否を確認し、その結果をターミナルサーバに知らせてなるものであることを特徴とする請求項一乃至四の何れかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項六】 課金サーバは、ターミナルサーバに対し一定時間毎に各クライアントの接続状況を問い合わせることにより接続時間を確認し接続料金を計算して接続度数を管理するとともに、利用継続の可否を該ターミナルサーバに知らせてなるものであることを特徴とする請求項一乃至五の何れかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項七】 課金サーバは、ターミナルサーバから一定時間毎に送られてくる知らせにより接続時間を確認し接続料金を計算して接続度数を管理するとともに、利用継続の可否を該ターミナルサーバに知らせてなるものであることを特徴とする請求項一乃至五の何れかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項八】 拡張認証データベースと連動しクライアントの自由なアクセスにより自己の接続度数の確認検索を可能とするプログラムを動作するhttpサーバを設けてなることを特徴とする請求項一乃至七のいずれかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項九】 拡張認証データベースと連動しクライアントの自由なアクセスにより複数の情報を所有するクライアントのそれぞれの接続度数を一つに合算することを可能とするプログラムを動作するhttpサーバを設けてなることを特徴とする請求項一乃至七のいずれかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項一〇】 拡張認証データベースと連動しインターネットにおける有料情報の料金の徴収を該クライアントの認証データにおける接続度数から行うことを可能とするプログラムを動作するhttpサーバを設けてなることを特徴とする請求項一乃至七のいずれかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項一一】 インターネットとの接続のためにクライアントから入力される情報は認証データ毎にカードに印刷されることにより管理され、該情報をキーボードから入力することにより接続可能としてなることを特徴とする請求項一乃至一〇のいずれかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【請求項一二】 インターネットとの接続のためにクライアントから入力される情報は認証データ毎にカードに磁気信号をもって記録されることにより管理され、該カードをパソコンに接続したレコーダに読み込ませることにより接続可能としてなることを特徴とする請求項一乃至一〇のいずれかに記載のインターネットの時限利用課金システム。

【発明の詳細な説明】

【〇〇〇一】

【発明の属する技術分野】 本願発明は、業者との契約手続を不要として不特定多数の者にすぐにインターネットを利用させるようにしたサービスの提供方法に係り、詳しくは、不特定多数者に対するサービスの提供に適応したインターネットとの接続可否判断を含めた接続の方法、接続時間の管理、課金方法及びその料金の徴収、等を効率良く行えるようにした時間制によるインターネットの時限利用課金システムに関するものである。

【〇〇〇二】

【従来の技術】 インターネットへ個人が接続する場合、インターネットの接続サービスを行う業者(サービスブロバイダー)を通じて行うこととなるが、その際、業者との間で予め接続するための情報や料金の支払い方法についての取り決め手続を行わなければならない。接続するための情報とは、ログイン名やパスワード等のことであり、料金の支払い方法とは、クレジットカードの利用、直接銀行等金融機関からの口座引き落とし、請求書郵送による納付、等のことである。そのため、このような手続があることから、実際に接続できるようになるまでにはかなりの日数を必要とするものである。

【〇〇〇三】 しかし、インターネットを利用したいという人の中には、仕事等の関係においてインターネット上での調査を行うことが急務とされ、煩わしい手続を省いてとにかく今すぐに利用することを欲する時間的余裕のない人や、そんなに頻繁に利用するつもりがないので業者に登録しようとは思わないが、出来れば気が向いたときに少しの時間だけ利用したいと要望する人、または、パソコンを所有していないが、機会があれば試しに利用してみたいと要望する人、さらに、既に業者に登録していても、旅行先や出張先等の利用場所もしくは地域によっては通常の手段が利用出来ない場合があり、その際、無駄な費用を掛けずに効率よく利用したいと欲する人、等数多くおり、その人たちからみればこのような従来のインターネット利用システムは、ある種の意味で自己の要望に応えることの出来ない閉鎖的な煩わしさを有したものである。

【〇〇〇四】 そこで、このような人達の要望に応え、不特定多数の者に対しても容易にインターネットの利用を行えるようにしたものとして、特定の場所(例えば、インターネットカフェと称するもの)において、時間を制限した時間制定額料金による課金方法のもとに、もしくは、入場退場の時間を元に計算した時間制従量料金による課金方法のもとに、第三者にインターネットを使ったサービスを提供するようにしたシステムが提案されている。

【発明が解決しようとする課題】

【〇〇〇五】 しかし、上記のようなサービスの提供システムにおける課金方法は、インターネットにおける課金システムに対応して算出してなるものではなく、サービスを提供する場所もしくは設備に対して課されてなる料金という性格が強い表面的な時間制による課金方法であるため、実際にインターネットを利用したか否かによって算出されてなる適正な課金方法とはいえないものである。すなわち、インターネットにおける課金システムは、接続の確立と切断の時にターミナルサーバが結果をホストコンピュータに送り、ホストコンピュータで料金を計算してなるものであるため、接続切断するまでその料金計算が出来ないことから、前者のように予め料金を定額化したり、後者のように実質的な接続時間に関係なく入場退場の時間を元に料金を算出することは、インターネットの利用以外のものに対する料金の負担が多く、業者に登録せずにインターネットのタイムリーな利用だけを要望するものに対する課金方法としてはそぐわないものである。

【〇〇〇六】 本願発明は、このような課題に対処しようとするものであり、以下に記載の発明の完成により、今までのような煩わしい手間、すなわち、インターネット接続に必要な業者との契約手続や使用料及び加入権の支払いといった手間を省くことを前提とした手軽で簡易なアクセスのもとで、その目的を成し得ることができたものである。

【〇〇〇七】

【課題を解決するための手段】 本願発明は、多数のクライアントにインターネットとの接続を提供することのできるターミナルサーバと、該ターミナルサーバからの指示によりクライアントから入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続可否を確認する認証サーバと、各クライアントに対応する唯一のログイン名、パスワードといった個別情報や該個別情報に対応して予め設定された利用可能な時間を示す接続度数から構成される認証データを、各クライアント毎に一つのレコード単位としてより多く、かつ、識別容易に管理することのできる拡張認証データベースを、各レコード単位毎に有する該認証サーバに連動する認証データベースと、各クライアントの接続利用時間に合わせて接続料金を計算し、該拡張認証データベースの認証データにおける接続度数を逐次更新する該拡張認証データベースと連動する課金サーバとを備えてなるものであり、インターネットとの接続の際にその都度入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続の可否を確認し、接続後は該拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数が〇になるまでの間に限り、連続使用、継続使用の別あることなくインターネットの接続サービスが提供されるようにしてなるものである。

【〇〇〇八】

【発明の実施の形態】 本願発明は、クライアントにインターネットとの接続サービスを提供するターミナルサーバと、該ターミナルサーバからの指示によりクライアントから入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続可否を確認する認証サーバと、該認証サーバに連動し各クライアントの個別情報及び予め設定された利用可能な時間を示す接続度数から構成される認証データを各クライアント毎に一つのレコード単位として管理する拡張認証データベースを各レコード単位毎に有する認証データベースと、該拡張認証データベースに連動し各クライアントの接続利用時間に合わせて接続料金を計算して接続度数を逐次更新する課金サーバとを備えてなるものであり、該拡張認証データベースを、認証サーバにおける認証データベースの一つのレコード単位を管理する組番号と組み合わさることにより多数の認証データの識別を可能とするログイン名を生成する、連続した数字を表現する文字もしくは記号を用いた任意の桁数の組内番号を有する多数の認証データから構成されるようにしたものである。

【〇〇〇九】 すなわち、UNIXマシーンのもとでのデータベースでは、登録できるログイン名は唯一であり、それぞれに対してプログラム内で使用する唯一の整数を割り当てているが、不特定多数のクライアントに接続サービスを提供する場合には、それに対応した多くのログイン名の登録が可能となるようにすることが必要である。

【〇〇一〇】 従って、多くのログイン名を効率良く識別容易に管理するためには、認証データベースにおけるレコード単位毎の唯一の組番号と、該認証データベースのレコード単位毎に構成される拡張認証データベースにおけるレコード単位毎の連続した数字を表現する文字もしくは記号を用いた任意の桁数の組内番号とを組み合わせることにより多数のログイン名を生成させ、認証データ毎に登録して構成されるようにすると良く、さらに、認証データベースにおける一つのレコード単位を、レコード単位毎の該組番号と該組内番号に該当しない任意の桁数の文字もしくは記号とを組み合わせることによりテンプレートログイン名を生成させ、該テンプレートログイン名によりログイン名を検索することで多数の認証データの識別が行えるように構成すると一層良い。

【〇〇一一】 また、本願発明における認証データは、多数の認証データからなる一つのレコード単位の中から該当する認証データを検索しやすくするために、レコード単位毎にその認証データを全て同一長さの固定長レコードとしたものでもある。

【〇〇一二】 また、本願発明における認証サーバは、クライアントから入力された個別情報の適否を、ターミナルサーバからの指示により拡張認証データベースから対応するクライアントの認証データが抽出されたか否かによって確認し、該ターミナルサーバにその結果を報告してなるようにしたものである。

【〇〇一三】 また、本願発明における課金サーバは、ターミナルサーバに対し一定時間毎に各クライアントの接続状況を問い合わせることにより接続時間を確認し接続料金を計算して接続度数を管理するとともに、利用継続の可否を該ターミナルサーバに知らせてなるもの、もしくは、ターミナルサーバから一定時間毎に送られてくる知らせにより接続時間を確認し接続料金を計算して接続度数を管理するとともに、利用継続の可否を該ターミナルサーバに知らせてなるものでもある。

【〇〇一四】 また、本願発明は、拡張認証データベースと連動しクライアントの自由なアクセスにより自己の接続度数の確認検索を可能とするプログラムを動作するhttpサーバを設けてなるものでもある。

【〇〇一五】 また、本願発明は、拡張認証データベースと連動しクライアントの自由なアクセスにより複数の情報を所有するクライアントのそれぞれの接続度数を一つに合算することを可能とするプログラムを動作するhttpサーバを設けてなるものでもある。

【〇〇一六】 また、本願発明は、拡張認証データベースと連動しインターネットにおける有料情報の料金の徴収を該クライアントの認証データにおける接続度数から行うことを可能とするプログラムを動作するhttpサーバを設けてなるものでもある。

【〇〇一七】 さらに、本願発明は、インターネットとの接続のためにクライアントから入力される情報を、認証データ毎にカードに印刷されることにより管理されるものとして該情報をキーボードから入力することにより接続可能としてなるようにしたり、又は、認証データ毎にカードに磁気信号をもって記録されることにより管理されるものとして該カードをパソコンに接続したレコーダに読み込ませることにより接続可能としてなるようにしたものでもある。

【〇〇一八】

【実施例】 以下、本願発明の実施例を図面に基づいて説明する。クライアントはインターネットとの接続サービスの提供を受けるために、まず、ターミナルサーバと接続することとなるが、ターミナルサーバには複数のポートが用意されていて、それぞれのポートにはモデムがつながり電話回線を経由してクライアントにインターネットとの接続サービスを提供するようになっている(図1(1)参照)。

【〇〇一九】 インターネットとの接続を依頼するクライアントは指定された個別情報を入力し、ターミナルサーバが入力されたクライアントの個別情報に基付いて接続するか否か判断した結果、初めてインターネットに接続できるようになるのであり、入力されたクライアントの個別情報の可否は、ターミナルサーバからの指示により(図1(2)参照)、認証サーバが連動する拡張認証データベースから対応するクライアントの認証データを抽出することが出来たか否かにより確認し(図1(3)、(4)、(5)参照)、該ターミナルサーバにその結果を報告することによりなされる(図1(6)参照)。

【〇〇二〇】 拡張認証データベースは、多数のクライアントに対応する多くのログイン名、パスワードといった個別情報や利用可能な接続時間を示す接続度数からなる認証データをログイン名をキーに一つのレコード単位として各クライアント毎に管理してなるものであり、認証サーバにおける認証データベースの一つのレコード単位を、前記多数の認証データを管理する拡張認証データベースから構成されるようにしてなる。

【〇〇二一】 認証データの構成手段としては、認証データベースの一つのレコード単位毎に唯一の組番号と連続した数字を表現する文字もしくは記号を用いた任意の桁数の組内番号とを組み合わせることにより生成したものをログイン名、そして、該組番号と組内番号に該当しない任意の桁数の文字もしくは記号とを組み合わせることにより生成したものをテンプレートログイン名とし、該テンプレートログイン名により検索されるログイン名にそれぞれ対応した多数の認証データを作成することにより成される。例えば、認証データベースのレコード単位毎にISP1組、ISP2組、ISP3組…といった組番号とし、さらに、各組番号毎に連続した数字を表現する文字もしくは記号を用いた任意の桁数の組内番号、例えば、0乃至9の連続した数字を用いた四桁の組内番号であれば、前記組番号一組に付き、0000、0001、0002、…9997、9998、9999といった104個の組内番号が作成され、また、A乃至Zの連続した数字を表現するアルファベット文字を用いた四桁の組内番号であれば、前記組番号一組に付き、AAAA、AAAB、AAAC…ZZZX、ZZZY、ZZZZといった264個の組内番号が構成されることとなる。これにより認証データにおけるログイン名が多数作成され、不特定多数の者へのアクセスが可能となる。

【〇〇二二】 従って、クライアントが入力した個別情報の可否の確認は、次のように行われることとなる。

一、クライアントが入力したログイン名をキーに認証サーバにおける認証データベースからまず検索し、該当する認証データが見つかればその内容を読み込み、ターミナルサーバに成功を返し該クライアントの接続を許可する(図1(3)参照)。

二、前記一、に失敗した場合は、該ログイン名の組番号部分を元にテンプレートログインを生成し、再度認証データベースの中から該当するログイン名を検索する(図1(3)参照)。該当するログイン名が見つからなければ失敗を返す。

三、前記二、で該当するログイン名が見つかった場合は、ログイン名を元に拡張認証データの中から該当する内容を読み込み(図1(4)参照)、前記二、の結果と結合してターミナルサーバに成功を返し該クライアントとの接続を許可する(図1(5)及び(6)参照)。

【〇〇二三】 また、課金サーバは、ターミナルサーバに対し一定時間毎に各クライアントの接続状況を問い合わせることにより接続時間を確認し(図2(1)及び(2)参照)、相応する接続料金を計算して認証データにおける接続度数の更新を逐次行うとともに(図2(3)、(4)、(5)参照)、利用継続の可否を該ターミナルサーバに知らせる(図2(6)参照)。

【〇〇二四】 すなわち、ターミナルサーバのポート毎に前回徴収のログイン名、徴収実施時刻を用意し、決められた一定の時間毎にターミナルサーバ経由でポート毎に接続しているクライアントのログイン名を得る。ログインしていない場合はログインしていないことが判別可能な特別なログイン名が得られる。接続するクライアントのログイン名が得られた場合における料金の徴収は、定期的に各ポートに対しログイン名を元に以下の方法による動作を繰り返し行い実施することとする。

一、ログイン名が前回徴収ログイン名と一致しない場合は、徴収実施時刻を現在の時刻にする。

二、クライアントが既にログインしていて、現在の時刻が徴収実施時刻以上の場合は、接続時間に相応する料金を計算し認証データにおける接続度数から該当度数分だけ逐次徴収することとする。もし、該接続度数が〇未満なった場合は、ポートをリセットして接続を切断する。

【〇〇二五】 また、インターネットとの接続のためにクライアントから入力される接続情報は、認証データ毎にカードに印刷されることにより管理されるものとして該情報をキーボードから入力することにより接続可能としてなるようにしたり、又は、認証データ毎にカードに磁気信号をもって記録されることにより管理されるものとして該カードをパソコンに接続したレコーダに読み込ませることにより接続可能としてなるようにしても良い。この際、前者の場合においてカードに印刷されることとなる情報の項目としては、接続度数、サポートURL、ドメイン名、ドメインネームサーバIPアドレス、POPサーバ名、ログイン名、パスワード、等があるが、個別情報であるログイン名及びパスワードだけをクライアントが入力するようにして、該個別情報以外のものは予め利用するパーソナルコンピュータ内に設定しておくようにすると良い。

【〇〇二六】 また、本願発明においては、インターネットの利用に際して何ら制限されることがないので、クライアントの自由なアクセスにより接続度数を確認することが出来る接続度数確認プログラムや、接続度数をクライアントの操作で追加合算することのできる接続度数追加プログラム、または、インターネットにおける有料情報に対する料金を認証データにおける接続度数から徴収をする情報提供料徴収プログラム、等のhttpサーバ上で動作するプログラム群を設けたり、最初に表示するURLを指定することのできるWWWブラウザーと組み合わせてWWWページを表示するようにすることも出来るので、インターネットの利用サービスを提供するものによって自由に環境を設定すると良い。

【〇〇二七】

【発明の効果】 以上のように本願発明によれば、今までのような煩わしい手間、すなわち、インターネット接続に必要な業者との契約手続や使用料及び加入権の支払いといった手間を単に省いただけでなく、手軽で簡易なアクセスのもとに適切、且つ、確実な課金方法において、インターネットの利用を幅広く、不特定多数の人に提供することが出来ることとなる。

【〇〇二八】 しかも、接続度数を拡張認証データベースにおいて確実に管理することとなるので、予め設定された接続度数分だけに一度に連続使用する必要がなく、所望の時に好きなだけ利用する断続的使用も可能となり、接続度数分の接続サービスを確実に受けることができるとともに、接続度数等のデータと盗用したり、改ざんしたりすることも一切不可能なものとなる。

【〇〇二九】 また、拡張認証データベースにおける認証データの識別は、組番号や組内番号における文字もしくは記号、又はその桁数を任意に設定することにより、非常に多くの組み合わされたログイン名により行うことが出来ることとなるので、多くのクライアントの要望に適合した様々な接続度数の設定が可能となる。

【〇〇三〇】 また、認証データを全て同一長さの固定長レコードとしたことにより、連続した数字を表現する文字もしくは記号を用いたログイン名のもとでの該当する認証データの検索が、認証データが多量になっても一つ一つ該認証データを検索しなくとも該ログイン名における組内番号と固定長レコードの積によってすぐに検索されることとなる。

【〇〇三一】 さらに、クライアントの自由なアクセスにより接続度数を確認することが出来るようにすることで、残度数に合わせたインターネットの計画的な利用ができることとなり、また、クライアントの操作で接続度数を追加合算することのできるようにすることで、接続度数の消費による回線の無闇な途中切断の回避や、中途半端な利用による接続度数を一本化して管理することができ、また、有料情報に対する料金の徴収を認証データにおける接続度数から処理するようにすることで、幅広い利用に供することができることとなる。

【〇〇三二】 そして、本願発明による課金システムは一つ一つ認証データにおいて利用度数を予め決めることができるので、最初に表示するURLを指定することの出来るWWWブラウザーと組み合わせて特定のWWWページを一定時間だけ表示するようにすることで、ある企業が自社の宣伝を伴う一種の料金払いカード式景品として利用することも出来ることとなる。

【図面の簡単な説明】

【図1】本願発明における認証方法を説明する概略図

【図2】本願説明における課金方法を説明する概略図

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